ふっち君の日記。

石川梨華ちゃんにガチ恋するおじさんの記録

君がトロンボーンを、うまく吹けるようになったら

外へ出ろ。今すぐ、外へ出るんだ。
そうだ、表へ出ろと言っている。
さあ、僕と一緒に山へ行こう。
あのさびしい裏山に、二人で一緒に行くんだ。

ああ、すばらしいミジンコを見つけたよ。
かわいいな。
ほら君、ミジンコをいたわっておあげなさいな。
かわいそうじゃないか。
生きているんだよ、ミジンコだって。
君と僕と同じさ。
みんな友達じゃないか。

やめろ。僕をおとしいれるな。
そうやって、いらぬことばかり言うね、君は。
さっさと、埋めろと言っているじゃないか。死体を。埋めろよ。
僕は、掘り返すからさあ。
君が埋めた死体を、埋めたとたんに掘り返すよ。
肢体じゃないよ、死体だよ。さあ埋めろ。さっさと埋めろ。

埋めろと言っている。埋めろと言っているんだ。はやくしないか。
そうだ。上々だ。それでいいのだ。
僕は、掘り返すから。
掘り返したよ。ガボッガボッて、掘り返したよ。
それから、僕はその死体を愛した。誰の死体なの、これ?
わからないけど、僕はその死体を愛して、汚しました。

よし、わかった。それからだ。問題は、それからなんだ。
僕に酒を飲ませろ。今すぐ飲ませてくれ。
だから、言っているだろう?
僕は酒がないと、だめなんだから。
わかっているくせに。ひどいね、君は。いやらしいね。
性根がくさっているんだよ、君は。

さっさとしてください。僕に薬品を与えてください。
酒がないというのか? 馬鹿にしくさる。ほどほどにしてくれ。
じゃあなんでもいいよ。なんでもいいやさ。
薬品じみたものなら、なんでもいいよ。
はやく、はやく、はやく、はやく、はやく!

とんでもないな、君は。ひどい奴だ。
僕よりトロンボーンがうまく吹けるわけでもないくせに。
僕はね、トロンボーンにかけては、誰にも引けをとらないんだよ。
こんど君に、吹き方を教えてあげようか?

君は、蝶々だね。
僕は、鷲だよ。あの大きく強い鳥だよ。
どうだい? 僕のがずいぶん立派な生き物のようだね。
参りましたか? いい気味だ。

だからと言ってね、誤解しないでもらいたいんだよ。
僕は君を愛しているよ。
こんなことを言っているけど、君のことが好きなんだ。
好きで、好きで、しかたがないんだ。
だから君も、僕のことを愛してください。愛せよ。
いやなの? ばか。やめてよ。
そういう、ロマンチックなことはお嫌いでいらっしゃる?
上等上等、それでなくっちゃあいかんよ。
さすが僕のフィアンセだね。

そろそろ刺身を食べませんか。
食べたくないですか。
じゃあ、一緒になわとびをいたしませんか。
優雅な遊びを、いたしませんか。

夜です。満月がお綺麗でございます。
私たちは満月を眺めましょう。
素敵に優雅なお夜を、お過ごしいたしましょう。
さみしいときはいつでも、君といっしょにいますよ。
さみしくなんか、ないですよ。

とんでもない。あなたを殺すなんて、とんでもない。
むしろ君が、僕を殺すべきなんです。
だから、僕を僕に、僕の、僕を僕してください。
君は、君にとって、君の君に君であってください。

トンネルの中で、君を好きだと、
君を愛していると、僕は、そう言うつもりではある。
でも君は、僕を憎んでいるのだね。
それでも、僕はね、君をね、悲しませたくはないよ。
君は、幸せであるべきなんだよ。
君は、泣いちゃあいけない。
君を、泣かせてなるもんか。
君が涙をながしたら、僕は、君の涙をなめるから。
なめつくすから。

僕は涙をながします。
君の涙はなめつくすけれども、
僕は涙をながします。
僕は、君と僕の涙を飲んで、生きる。

悲しいお酒は、もういやなんです。
涙だけを飲んで、生きていきたい。
僕は君の涙を飲みたい。
君の涙は、僕のすべてだ。
僕は、君の涙と、等価なのです。
一体になって、溶けてゆきます。

少女の歌声が聞こえてきます。
透き通るような、とてもきれいな歌声です。
それがぐるぐる、ぐるぐる、うずまいて、
君と僕を、まきこんで、
ずっと君を、僕は欲していたの?
いっしょになったのかな。
きたないことも、きれいなものも、
すべてが一緒くたになっちゃうみたいだね。

僕は、君のなみだを、なめる。
君は僕を、にくみますか。
僕は君を、好きです。
君は僕を、好きではないですか。
僕は君が、好きです。

明日は、よい天気ですか。
明日は、暑いでしょうか。
明日は、薄着でいきますか。
僕は、とろとろ、とろけていきます。
君は、僕といっしょに、とろけてくれますか。
僕と、君は、別々ですか。

僕は、根性無しみたいだ。
君は、「どうでもいいわ。あなたも、何もかも。
月が欠けたって、潮が満ちたって、どうでもいいの」
と言うけれど、僕は、どうでもよくないんだよ。
君のことが、気がかりだよ。

明日は、暑いんだから。
厚着をしたら、いけないんだよ。
汗がいっぱい、たくさん、出ちゃうんだよ。
僕は、嘘をついて生きていくだろう。
でも君は、正直に生きてください。
僕には嘘しか、つけないのです。
君だけは、正直に生きてください。

君がトロンボーンを、うまく吹けるようになったら、
僕といっしょに、富士山に登りましょう。
富士山のてっぺんで、
いっしょにトロンボーンを音高く吹いて、
火口から、いっしょに飛び降りましょう。
きっと、素敵なところに辿りつけますよ。
僕は、あなたが、君が、好きなんです。
君は、僕が、好きではありませんか。
僕は君が、好きなんです。
僕は君が、好きなんです。*1

*1:2025年10月14日、読みやすく整えました。