「あー、おいしい、そうそうそうそう。なんか、あたしは、もう、モーニング娘。に、入ってから、もう、丸4年が、経ったんですよ。そして、いま5年目突入なんですけども、まあここでちょっと、初心に帰ると、いう感じで、まあ石川梨華の、自己紹介をしたいと思います」
「そうか、5年目突入かあ、月日の経つのは早いね。光陰矢の如しだよ、梨華ちゃん。どうだい、僕はじつに知的だろう。光陰矢の如し、なんて知的な言葉が口をついて出るんだよ、僕は」
「神奈川県、出身の、昭和60年、1月19日生まれ、山羊座のA型の、石川梨華です」
「なんだい、あらたまっちゃってさ、照れるじゃないか。なんか、僕も自己紹介しなきゃならない雰囲気? これって、そんな雰囲気? 照れるね、どうも。僕は、なにしろ、埼玉県出身の、昭和55年、4月10日生まれ、お羊座のたぶんA型の、田中ふとしです」
「あ、なんかすごい、なんかこの自己紹介、なんかすごい久しぶりにするけど恥ずかしいな」
「いやん。僕だって、恥ずかしいんだよ。梨華ちゃんだけじゃないよ。僕だって、すごく恥ずかしいよ。なにしろ、田中ふとしって、僕の本名だからね。偽名じゃないよ。太志だよ。太いこころざしって意味だよ。よくね、やせてるのに太志なんだね、って言われるんだ。そんな風に言われるのは、もう飽き飽きなんだ」
「趣味は、趣味は、えーと自分ではあんまり塗らないんですけど、ネイルアート。いま今日は、パープルにして」
「自分では塗らないのに、趣味だなんて、よくもまあ言えたものだね、あきれるよ、僕は。自分で塗ってこそ、趣味と言えるのではないかね? え? 違うかね? ねえ、どうなんだい?」
「最近、あの緑とか、自然が大好きで、まあ、あの気づいてる人もいると思うんですけども、これは、こっちがサボテンで、こっちが、あの、コケ植物、コケの上に、植物が生えてるんですけど、これは、わたしが家から持ってきました」
「それはさ、自主的に好きになったのかい? 違うんだろ? 馬鹿だね、君は。ひどい馬鹿だよ。熱っちい地球を冷ますんだっ! とかいう企画のために、そうやって言っているんだろう? 馬鹿にしないでほしいよ。僕はね、そういうの、嫌なんだよ」
「なんでしょう、紹介しますね。こちらが、あのサボテンで、ね、サボテンてあたし、なんか、この子を育て始め、てから、知ったことがあって、話かけると、喜ぶらしいの。サボテンて、これほんとに」
「いいや、ウソだね。そんなことあるわけないじゃないか。迷信だろう。そんなことを、信じちゃいけないよ。なにしろ、僕の家の植物はね、僕が毎日、『死ね、死ね、さっさと死ね』って言っているのに、一向に衰える気配を見せないんだ。じつにすくすくと育っているよ。図太い奴だよ、死にやしないんだ」
「これ最初あたし、うちのママに言われて、そんなことあるわけないじゃん、て思ったんだけど、あのね、買ったときにね、書いてあったの。あの話しかけると、喜びますって。で、それで、いろんな人に訊いたら、そうだよ、って聞いて、だからサボテンの前で、もうグチとか、もう、いっぱい言ってたら、サボテンが、元気なくなって枯れちゃったりとか、ね、毎日楽しく話しかけたら、そう、元気になるんだって」
「そりゃあね、梨華ちゃんみたいな可愛い女の子に、話しかけられたらね、元気にならないほうが、おかしいんだよ、僕はね、悪いけどね、気持ち悪いとか言わないでほしいんだけどね、僕は、そのサボテンになりたいんだよ。馬鹿だろう? 僕はこの世に稀に見る馬鹿だろう? ののしってくれよ。梨華ちゃんのグチでも何でも、聞きたいんだ。梨華ちゃんなら、もう、なんでもいいんだ。馬鹿だろう? 馬鹿なんだ、僕は」
「こっち、これわかるかな。これね、まあわたしのね、唯一描けるイラストのウサギ、がここにあるんですけど、これコケなんですよ、コケで、そのコケの、に、水をあげることによって、この植物が、ね、成長してくるんだけど、これね、このこの葉っぱが、ちょっと、黄ミドリっぽいの、これはね、あたしが買ってから、生えたんですよ。最初はこれ無かったの。このちっちゃい芽とかね、いっぱい生えててね、どんどん伸びてきて、こいつも、もっともっと成長するように、がんばって、育てたいと思います」
「なにそれ、なんかすごいね。ウサギ?あらかわいい。食べちゃいたい。そうか、そうか、よかった。すごいなあ。うらやましいんだよ、僕はさ。コケや葉っぱがさ。なんで、僕は、僕なのかな。梨華ちゃん、教えてくれよ。僕は、なんで、僕なの? 僕は、なんでそのコケでもなければ、黄ミドリっぽい葉っぱでもないの? ねえ、梨華ちゃん、君はなぜ、僕の言うことを無視するの? いいかげん、怒るよ? 君はさ、僕の家に遊びに来たんだろう? 違うのかい? なぜ、僕を無視するんだ。なぜ、自分のことばかり話すんだ。いい加減、温厚な僕だって怒るよ。僕だって、仏じゃないんだ。僕は、人間なんだ。君はさ、梨華ちゃん、いったい何様のつもりですか?」
「まあだから、この子たちがいると、まあちょっとリラックスできるということで、わたし家から持ってきました。そして、ごほ、ごっほん」
「ああ、梨華ちゃん、だいじょうぶかい? 咳なんかして、喉が、痛いのかい? ねえ、だいじょうぶかい。僕はとても心配だよ…。さっきはごめんね。ひどいことを言ったけど、僕は、君のことが心配でならないんだ」
「話はもどりますが、いま趣味言いましたね、で、特技は、えと、昔はテニス、Y字バランスって言ってたんだけど、まあテニスは、もう3年くらいラケット握ってないので、最近はもう、テニスは特技になってなくて、まあ今は唯一、まあできる特技と言えば、Y字バランス、なんです、はい」
「梨華ちゃん、嘘だろう? 馬鹿! テニスを、やめることはないだろう。テニスを、息抜きにちょっとやるくらいも、しないのかい?テニスはやらないのに、接待などと言って、醜いオヤジとゴルフはするんだね。梨華ちゃん、君は汚れたよ。いつから、そんなに汚れたんだい。悪かったね、僕はどうせ、大人だよ、大の大人だよ、笑えばいいさ、でもね、大の大人だって、純粋に生きてる人はたくさんいるんだ。あまり、馬鹿にしないでもらいたいね」
「Y字バランスはですね、昔小学校の頃に、新体操をやってて、そのときに、まあY字バランス習ったんだけど、ちょっと見てみる?」
「Y? なんだって、Y字バランスだって? やめろ、やめないか。僕は、そんなの見たくはないぞ。僕は、見たくない。やめてくれ! そんな、破廉恥なことはやめろ! ちくしょう! やめろって、言っているんだ!」
「ちょ、ちょっと、ちょっと、久しぶりに、やってみるね。これね、いくよ? ほら、これ足うつってる?」
「いやあああああああああだああああああ!!!!! やめろやめろやめろ亜qwせdrftgyふじこlp;@、ちょっと、待って。うつってるとは、なんだ? 馬鹿野郎、僕は写真など、撮りはしないぞ! 馬鹿にするな! 僕は、そんな変態じゃないんだ」
「ほら、ここまで。ここまで! あ、ちょっと足がつりそう。あの左はね、ちょっとね、まだね、あんまり硬いんだけど、あ、でも上がるわ。はい。あ。まあこんな感じで、わたしの特技は、Y字バランスということで、ちょっと披露しちゃいましたけども」
「……君は、恥というものを知らないのかい。僕が、どんな気持ちで見ていたか、わかるのか?僕が、どこを見ていたか、わかるのか? 何をかくそう、僕は、君の、梨華ちゃんの、股間を見ていたんだ。そして、脇のあたりを見ていたんだ。とっても、いやらしい気持ちで見ていたんだ! Y字バランス、素晴らしい、きれいだね、だなんて、そんな気持ちで見ていないんだ。ああ、あの股間の奥は、いったいどうなっているの? とかいう、とってもいやらしい気持ちで見ていたんだ! 馬鹿! 僕は馬鹿野郎だ! 僕は、駄目だ。ちくしょう! 君が、破廉恥なことをするからじゃないか! だから、言ったろう、やめろって。なんども、やめろって言ったじゃないか、畜生!」
「そして、ま、これねジャージだからできるっていうね、これ、いいですよ、そして、いまどこまで話したっけ。趣味、特技、ま、それで、じゃあ、長所!」
「ジャージだから、という問題じゃないだろう! 君には、羞恥心というものが皆無だね。見損なったよ。あきれたよ。僕は、うんざりだよ。苦しい。僕は、酔っている。君が、レモンシュガー入りの紅茶を僕にくれないから、僕はね、酒を呑んだよ。悪いか、畜生。馬鹿野郎。酒くらい、呑まないとやってられるか、馬鹿野郎。この破廉恥むすめが。日本は、乱れたよ。淫乱だよ。一億、総淫乱時代だよ。あきれるよ。絶望だよ」
「長所、自分でいうのも恥ずかしいんですが、長所は、負けず嫌い、そして、ポジティブシンキング」
「負けず嫌いだなんて、君は、恥ずかしいね。人間、負けてナンボだということを知りなさいよ。僕はね、今まで、負け続けてきたよ。悪いか。畜生。くそったれめ。ポジティブなんてクソ食らえなんだよ、馬鹿野郎が。どうせ、こんなこと言ったって、君は、梨華ちゃん。ねえ、梨華ちゃん、おい! 梨華! 聞け! 聞いてくれ! ちくしょう! 聞いていないんだろうが!」
「まあ負けず嫌いは、ねえ、知ってる人も多いと思うんですけど、まあ、運動会とかで、負けず嫌いな面を、一面を、たくさん、見せたりとか」
「知ってる、知ってる。ハロプロの運動会、見に行ったよ。梨華ちゃん、君は、ひどく怒っていたね。恥ずかしい。なんて恥ずかしい娘だろうね。謙譲の心を、忘るべからず。そうだ、孔子がそんなことを言っていたじゃないか。君子はね、敬い、譲るこころもちが、無くてはならないんだよ。それがね、君には欠けて、梨華ちゃん! おい! 聞け! 馬鹿! くそったれめ!」
「うん、あとは、なんだろ、ただ自分では気づかなかったけど、最近、わたしすごい負けず嫌いなんだなって、思って、うん、やっぱり、自分のなんか限界、までいっつもやりたくなるんだよね。なんか途中で諦めるのは嫌で、少しでも可能性があったら、ちょっとがんばってみるかなって、うん、いつも、思ってます」
「……悪かった。悪かったよ。僕は、最低の人間だ。死んだほうがいいんだ。そのほうが、世のため、人のためだ。いないほうが、いいんだ。僕は、途中で諦めてばっかりだよ、畜生。畜生。畜生。畜生。可能性があっても、がんばりやしないんだ、畜生、畜生、畜生。ねえ、梨華ちゃん。君は、僕の声が聞こえているかい。僕の姿が、見えているのかい。僕は、誰なんだ。僕は、いったい、ここにいるのか。僕は、梨華ちゃんと、いっしょに、ここにいるんだろう? 僕には、梨華ちゃんが見えているよ。すぐそばにいるね。君は、梨華ちゃんは、どうして僕を見てくれないの? 僕は、梨華ちゃんの目の前に、いるのに」*1
*1:2025年10月14日、読みやすく整えました。
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