ネットをさまよっていたら、こんな記事を発見した。*1
09/23(木)
石川梨華(新ユニット名不明)1stシングル「タイトル未定」*2
PKCP-5048 \1,050 初回限定イベント参加券封入
出るとは聞いていたが、こんなに早くに出るとは思っていなかった。9月23日か。しかし、わかっていたことだが、ユニットというのがひじょうにウザイ。勘弁してくれ。抱き合わせ、勘弁してくれ。ソロでいいだろ、ソロで。馬鹿にしやあがって。俺が不可避的に買っちゃうからといって、抱き合わせにするとはね。3枚買うよ。3枚。いや、どうだろう。やっぱり、3枚は買わないよ。そうだ、ざまーみろ、俺は1枚しか買わないぞ、ざまーみろ。梨華ちゃんのソロだったら、3枚は買うだろうけどな。抱き合わせだから、1枚しか買わないんだよ。クソッタレ事務所が。ざまあみやがれ。おととい来やがれってんだ、べらぼうめ。
イベント参加券が封入されるというのは、今のところ、その真偽のほどは定かではないんだけど、イベントをやるのかもしれない。そしてそれは、握手会なのかもしれない。握手会? 君も? 後楽園で? 僕と握手? じゃなくて? 梨華と握手? みたいな? まじで? ほんとに? 信用していいの? 信用しちゃうよ? り、梨華ちゃんと、あく、ああくあうかうあくちゅ、いや、ちょっと待て、落ち着け。落ち着くんだ。ひっひっふ〜、ひっひっふ〜。
とりあえず、握手会が実施されると仮定しよう。落ち着いて、冷静に、「僕が、梨華ちゃんと握手するの図」を想像してみたいと、僕は思う。
――想像中――
うわああああああああああ!!!! ありえない! ありえれいな!*3 ありえれない! れいなりあえ! 僕が、あの梨華ちゃんと、向かい合って、見つめ合って、手を、にぎにぎだなんて! 僕は、まず、確実にどもる。どもりまくる。
「り、りりり、りりりりりかりりりりりかちゃ、ちゃんちゃんりりりりっりーん、リーン♪ リーン♪ リーン♪」
僕は最終的には、秋の憂愁をさそう、小粋なスズムシになるだろう。そんな自信がある。確固とした自信が。
そうだ、場当たり的に、無計画に、梨華ちゃんと話そうとするから、駄目なんだ。テンパって、どもったあげく、小粋なスズムシになっちゃうんだ。綿密に、何を言うか、何をするか、計画を立てておけばよい。
……なんて言おうかな。うーん、僕は梨華ちゃんが好きなんだから、思ったままのことを言えばいいんだ。それだよ、それがベストだ。
「梨華ちゃん、好きです。付き合ってください」
( ^▽^)<ありがとうございます!
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ。なんだよ、それ!? 「ありがとうございます」って、なんだよそれ? 会話になってねーよ! ふざけんじゃねーよ、このシャクレ淫乱女が! 酒ばっかり飲みやがって! インチキばっかりだなお前は! YESかNOだろうが! イエス、オア、ノーだよ! 馬鹿野郎が! お茶をにごすな! ヘソが茶をわかすぜ! おい石川、視点が定まっていないぜ。一体どこを見ている? 俺を、見ろよ。目の前にいるんだ。イエスか、ノーか。それを言うだけだろうが、お前は。
言い方が、悪いのかなあ。付き合ってくださいってのも、微妙かもしれないなあ。どうとでもとれるしなあ。「ちょっとそこまで、付き合ってください」、みたいなことも、ありうるからなあ。ごめん、僕がわるかった。もっと、ね、ハッキリ言ったほうがいいよね。情熱的にさ。さっきの僕のセリフじゃ、ちょっと、あまり情熱が伝わらないよね。
「ああ、できる事なら私の胸を截ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい*4。梨華ちゃん! 僕は君のことを愛しているんだ! 君のためなら、死ねる! 死ぬほど、好きなんだ! さあ、僕と結婚しよう! 二人で、どこか遠いところへ逃げ出そう!」
( ^▽^)<ありがとうございます!
虚脱、虚脱、虚脱、虚脱。虚無、虚無、虚無、虚無。空疎、空疎、空疎、空疎。絶望、絶望、絶望、自殺、自殺、自殺。虚無僧、虚無僧。僕は虚無僧。え? 虚無僧?
梨華ちゃん、素敵だよ、君は。実に素敵なんだ。とても素敵な笑顔で、「ありがとうございます」か。おめでたい。僕は、おめでたい男になりたい。僕は、おめでたい男になるよ。その笑顔が、僕に対する真実の愛情からのものであると、僕は信じるよ。君は、僕が好きだから、僕に笑いかけている。そう信じるよ。「ありがとうございます」というのは、「私のこと、愛してくれてありがとう。実はわたしもふっち君のことが好きだったの。結婚いたしましょう。そうね、今は、ふっち君はね、勉強のが大切だから、ふっち君が大学を卒業したら、結婚いたしましょう。ふっち君の卒業式の日、私、明治通りの『わっしょい』っていう居酒屋で待ってるから。その時になっても、ふっちの君の気持ちが変わっていなかったら、『わっしょい』に来てね。私、待ってるからね」ということを意味するのだと、僕は信じよう。信じるものは、救われる。
日本一おめでたい男。それは俺。僕は『わっしょい』に行く。卒業式が終わったら、きっと『わっしょい』に行く。梨華ちゃんが待っているから。僕を、待っているんだから。
――いろいろ考えてみたけれど、もしも握手会が開催されて、梨華ちゃんと握手をするならば、結局、僕はこう言うだろう。「梨華ちゃん、がんばってね」と、できるだけ、爽やかな笑顔で。梨華ちゃんの笑顔に負けないくらいの、とびっきりの笑顔で。僕の笑顔がきわめて醜いのはわかっている。でも僕は笑って言うんだ。「梨華ちゃん、がんばってね」と。僕にできるのは、それだけだ。僕がすべきことは、それだけだ。梨華ちゃんを、応援するだけだよ。いちファンとしてね。それが、ベストなんだよ。そのくらいわかってるよ。わかりすぎるくらいに。
僕に許されるのは、梨華ちゃんと握手をしたあと、手を洗わずに家に帰って、ナニをすることぐらいだろうな。「わあ! こりゃあ、梨華ちゃんの、間接手〇〇じゃないか! た、たまらん、興奮するう! ああ、梨華ちゃん、梨華ちゃん…!」。気持ち悪いとか、言わないでくれ。それくらいは、頼む、許してくれ。お願いだ。こんなにもみじめじゃないか、僕は。母性本能を、発揮してくれ。それくらいは、許してくれ。僕には、そんなことくらいしか、できないんだから。ねえ、梨華ちゃん。君が好きだよ。気が狂いそうなほどに。