オナホールの中に、何か黒いものが発生していた。内側の壁に、黒いカタマリがいくつかこびりついている。カビのように見えるけれど、何なのかはよくわからない。オナホールとローションと精液とが、互いに複雑な化学反応を起こし、その結果として何か新しい化学物質が生成されたのかもしれない。とにかくそれは黒くて、いやな感じのする物体である。食べたら、たぶん死ぬような気がする。とりあえず、僕は食べなかった。その黒いものを取り除こうと努力した。しかし穴の奥の方にそれはあったし、内壁に強くこびりついていたので、全部は取り除けなかった。僕は取り出すことができた黒いものを指の上にのせ、まじまじと眺めてみたけれど、やはりそれが何なのかはわからなかった。
まだ黒いものは穴の奥のほうに点々と残っていたが、僕は気にしないことにして、そのオナホールを使用してリカニーをはじめた。ちゃんと問題なくリカニーはできた。いつもと同じくらい気持ちよかった。僕はいつもと同じように、梨華ちゃんの写真を見つめながら穴に出し入れし、「梨華ちゃん、好きだよ…!」と叫ぶように呟いて射精した。
しばらく放心状態になったあと、オナホールを洗面所に持っていき、穴を下に向けてしぼった。オナホールを、牛の乳搾りをする要領でしぼりながら、僕は「まさに、牛の乳搾り、まさに!」という一発ギャグを思いついたが、あまり愉快な気持ちにはならなかった。とにかく僕は、そうしてローションと精液をしぼり出した。あたりに嫌な、くさった死体のような匂いがただよった。そのとき、ああ僕は汚いことをしたんだ、と思った。汚らしいことをした。僕は、梨華ちゃんを汚したんだ。するとオナホールから、ローションと精液にまじって、例の黒いものが出てきた。カビなのか、何なのか、わからないものが。